VRアーティストインタビュー torazoさん

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neosの魅力紹介特集編集部コーナー

今回はneosを中心にVRでの創作活動をされているTORAZOさんへのインタビューをお届けします。

■VRアートを始めるまでの経緯をお聞かせください

Torazo : 2021年の3月ぐらいにセキグチアイミさんのVR作品がNFTアートとして高額で落札されたというニュースが大々的にメディアに取り上げられたんです。
その時にセキグチさんがバーチャル空間で絵を書いてるのを見て、あーすごい魔法みたい!こういう書き方もあるなら私もやってみたい!って思ったんです。
でもタイミング的にちょうどコロナが流行り始めたころで、秋葉原や家電量販店でVR機器のお試しとかできなくなっていたので、とにかく買ってやってみるしかないって思って、関口さんが使われてたスペックそのもの全部を揃えました。
もうゲーミングPCも、ヘッドセットもう全部セットで(笑)

■思い立ったらすぐ実行に移すタイプなんですね(笑)

Torazo : そうかもしれません(笑)
ただ、それまでPDFさえ満足に1人で作れないぐらいだったので、詳しい友達に接続とかいろいろ手伝ってもらったりとかして。
とにかく始めるまで結構大変でした。始めてからも大変でしたけど(笑)

■PCで色々な事をやる事もチャレンジだったんですね。

Torazo : そうですね。それまではdynabookっていうノートパソコンを10年ぐらい使ってはいたんですけど、処分して一新しました。
パソコンをアート関係で本格的に使うっていう意味では初めての体験ばかりでした。
最初はYouTubeを見ながらみようみまねでやっていたんですが、やっぱりYouTubeだけではわからなかったりとかすることも結構あったので、まずTwitterでチルトブラシを使っている人達をフォローしてました。その流れでひよこ師匠のVRアート系のDISCORDに参加する事が出来て、そこでいろいろと覚えていった感じです。

■VRアートのどのような所に違いや魅力を感じますか?

Torazo : やっぱり感覚的なものが違いますね。2Dのキャンバスと向き合うのとは違って、VRは360度でのモノづくりなのでそこがまず全然違いましたね。
どちらかというと彫刻に近いのかな?
そこはまだ慣れないし、大変な所ですけど表現する感覚と刺激も全然違うので、それは大きな魅力のひとつだと思っています。

違うところも多いですが実は共通してる部分も多くて、展示会場での作品の見せ方とかライティングとかはどちらも空間的な事を考えつつ進めますね。

現実世界の個展では作品紹介を紹介するボードにアクリル絵の具とマテリアルを記載して、それから自分の作品についてキャプション(説明)を付けたりします。
VRでも基本的には同じ作業なのですが、VRの展示で同じ感覚で文字を起こすと、文字だけでものすごくポリゴン数になるので削らないといけなくなったりするんです。
でも美しく展示したいので元に戻したり、また削ったりとよく葛藤していますね(笑)

VRならではの作品展示 – Torazo Solo Exhibition より

■自由度が高い分、決めごとをしっかりしておかないと収集付かなくなりそうですよね。

Torazo : そうなんです。データ制限との戦いがまずありますね。
あと、あまりに広々と空間を作りすぎると、自分が見てほしいポイントがちゃんと伝わらない可能性が出てくるので、展示する範囲を絞ってコンパクトな空間を考えて作らないといけないですね。
その辺りの、どこを削るといった引き算さんの部分に、そのアーティストの美しさやセンスといったが部分が出てくるんだと思います。

反面、そういったことに縛られずに自由に作って私の見せ方はこれ!という感じの主張のある展示があってもいいと思うので、その辺りはケースバイケースですよね。
まぁ、個人的にはどっちかって言うと自由なやり方が好きですし、その方が私の性格にも合っているので、自由に、本当は、したいですけど(笑)

■Torazoさんの作品はどれも一見するとすぐTorazoさんの物だと分かる個性的な作品ばかりだと思います。 その独特な発想のルーツはどこから?

Torazo : ありがとうございます(笑)
ここまでずっと絵を描き続けてるなんて執着に近いぐらいと思うんですよ。
好きっていうのもあるしなんかやめられないしやめたくないっていう、この何か説明ができない感覚はご先祖様に武士と絵師を兼任していた方がいたりとか、親戚でもデザイナー系やクリエイター系の方たちが数名いるので、そういう血の巡りみたいなものがあるなのかもしれませんね。

■ご家族も美術系の方なんですか?

私の両親は音楽の方が好きでした。
父は矢沢永吉さんの大ファンなんですけど、お前の胎教は永ちゃんだぞと言われていました。
いまだに矢沢さんの音楽を聴くと直ぐにわーってなるので、本当に胎教だったかも知れないですね(笑)

母も音楽が大好きで、アコースティックギターをやってたりとかしてたらしいです。他に絵も好きで、たまに田舎のデパートの催事で絵の展示会とかに連れて行ってくれた記憶があるので、そういうのも多分影響しているんだと思います。

■実際に絵を描くのを仕事にしようと思ったのはいつ頃ですか?

Torazo : 短大卒してしばらくはフリーターやったりとか会社員もやってて絵を忘れていた時期があったんですけど、なぜか急に何か絵を書きたい!ってなったんです。
それでお金を貯めて東京に行って、本格的に絵の道に進むことになりました。
そうして絵を書いていく中で、なぜか海外の方と友達になる事がよくあったんですけど、その影響で海外で制作したい!っていう気持ちがだんだん強くなっていたんですよ。
とはいっても海外では職もないし、直ぐに絵で食べていくってことは難しそうだなと思って、いろいろと調べてみたらアーティスト・イン・レジデンシー・プログラムっていうのがあったんです。
日本ではまだ少ないんですけど、海外アーティストを一時的に自国の創作スタジオに迎えて、そこで生活しながら制作活動して、最後に個展を開いてもらうという流れのアーティスト向けプログラムなんですよ。
そして色々なプログラムの中で、私がいいなと思ったのがチェコ共和国のプラハのスタジオのものだったんです。

■チェコと言えばNeosが生まれた国ですね! 何か運命的な物を感じます。

Torazo : そうなんですよ!私もネオスはチェコ生まれって聞いて、わーってなりました(笑)
プログラムはスタジオ用費用を自分で払ったり、無料で住まわせてもらったりと色々種類があったんですけど、私は出来るだけ出費が少ない方から選んでました。
推薦書とかの準備するまでも大変だったんで、色々な条件をクリアして最終的に残ったのがそのプラハだったという感じですね。プラハでのプログラムが終わった後は、ビザが切れそうになるまで東ヨーロッパ周辺を一人でバックパックで回っていました。凄く楽しかったですね。

■海外で色々と経験をされていますが、作品的にはどっちかっていうと和風な、しかもすこし変わったな雰囲気の作風が多いですよね。

Torazo : (笑)はい。そうですね確かに変わった感じですね。いや自分でも思います。
その辺りは小さい頃の親の趣味の影響がすごい大きいのかもしれません。
実は小さいころからエイリアンとかのホラー映画とかを家族みんなでよく見てたんですよ。

■小さいころに家族でエイリアンは珍しいですね(笑)

Torazo : 珍しいと思います。少しグロテスクなものとかも多かったんですが、
私は多分その免疫が強いというか、性格的に好きなんだと思います。弟は当時見た映画がトラウマだって今でも言ってますけど(笑)
その好みの所為だと思うんですが、私の作品には現実の物をこの世にはいなさそうな雰囲気のものに変えてみたりとかが多いです。例えば人間をモチーフにしてもどこかしら崩して描いちゃうんですよね。

■その辺はやっぱり武士だったご先祖様の影響もあるのでしょうか?

Torazo : 自分の作品が日本っぽいモチーフメインっていうのはあんまり意識したことがないんですけど、そうかもしれないなと思い始めたのはここ5年ぐらいです。
自分の意識にはなかっただけで絵には現れてたのかもしれませんが、本人的にはそこまで和を強調してるとは思っていなかったです。不思議ですよね。
でも周りからジャパンニズムを感じるって事を結構言われるので、最近は自分の作品がそっち方面なんだなと思うようになりましたし、自分なりのこの日本のこの独特な感じを強調してみようかな?と思うようになりました。

■和風といってもやっぱり他とは違う何か凄みみたいのをTorazoさんの作品から感じます。

Torazo : 流石にもう自分が普通の人とは違う感覚の絵を書くなっていうのは自分でもわかっています(笑)
いろいろな経緯を経て、今のこの感じのスタイルになってるので、こういう発想ってどこから来るんですか?とか聞かれても一言で説明するのはなかなか難しいですね。
今までの積み重ね、です。

ムカデのような想像上の生き物 – Torazo Solo Exhibition より

■和風と言えば、Torazoさんの名前もかなり和なテイストですよね。名前の由来はどこから?

Torazo : 絵師で武士の生家の方の祖父の名前が「とらぞう」という名前だったんですね。
私はトラゾウじゃなくてトラゾなんですけど、その祖父から名前を頂戴しました。
その祖父は私が生まれる前に亡くなっているんですけど、親戚から聞いた話によるとその祖父から何代かは国から依頼を受けて海底に物を取りに行く潜水士だったそうです。
祖父の家にはその時使っていた羅針盤とか潜水士の服とか残っていますし、国からの賞状とかも結構飾られています。
当時、まだ潜水技術や装備が十分ではないのに。深い海に潜って仕事をするのってすごい大変なことだと思うんですよ。
でも祖父は家族のために命がけで潜っていたんだと思います。
そんな祖父は芯の強い人だったと聞いていて、私も色々とあるかもしれないけど真摯に絵を描き続けていきたいっていう気持ちから祖父の名前を頂きました。

■neosを知ったきっかけはなんだったんでしょう?あと、TORAZOさんにとってのneosの魅力とは?

Torazo : MMC2021開催時にマナさんと銀鮭さんからネオスVRでMMCっていうクリエイターの祭典があるので、チルトブラシで何か作りませんか?とお誘いの声をかけてもらったのが最初ですね。
当時VRSNSには友達とか知り合いもいなかったのですが、折角だからやってみようかなと思ってOKしました。

やってみて直感でネオスって可能性すごいじゃないかっていうのがあって、なるべくMIYAさんとかペレさんのモデリングクラブとか参加するようになりました。
他にもオレンジさんのダ・ヴィンチリゾルブの動画編集の仕方も教えてもらえたり、後は毎週日曜に行われているクリエイタージャムで海外アーティストの友達と、使っていなかった英語でコミュニケーションを取ったりとかがあってすごくありがたいですね。

後は、ネオス出会う人たちがやっぱすごく素敵な方たちが多かったっていうのもあります。
ネオスに居る人って皆モノづくりをしたり、色々な事を探求したりとか、結構そういうタイプの方たちが多いと思うんです。
そんな方々と共同作業が出来るというところにすごく可能性を感じます。そこは唯一無二ですよね。
もちろんただ遊ぶだけの方たちもいらっしゃいますけど、でも、そのただ遊ぶだけって言ってる人たちも、色々と考えて何か面白いことをやってらっしゃったりするので凄く刺激になります。
その辺が私のフィーリングとも凄く合ってる感じで、本当に楽しく遊びながら学べる環境だなとおもうので、もっといろんな人にneosに来てほしいなと思います。

■neos以外のVRプラットフォームでも作品を出されていますよね。

Torazo : クラスターでゲームジャムっていうのがあったんですよ。クラスターの事も良くわかっていなかったけど、参加しない?って誘ってくださったんで、そっちでも何かしたいなって思って参加して、初めてのワールド作りを経験させてもらって、だから去年は色々と初めてがありました。VRペインティングもVRSNSのようなメタバースプラットフォームもですね。
私が関わってるNFTクリプトの方の世界のメタバースは不動産的な思想概念があったりとかで賛否両論ありますね。ブロックチェーンのThe_Sand_BOXというゲームで私はボクセルクリエイターとして
日本のチームに所属してるんですけど、アイテムを土地を買った人に提供したりとか買ってもらったりとかしてますね。私が元から知ってるメタバースと呼ばれているものはそういう金融的な部分のクリプトアートなんで、NEOS、VR_Chat、クラスターとかとはいろんなところで違います。どちらも知っている身としてはどちらもそれぞれ面白いところはある、っていう感じですかね。

■アーティストとして活動していく上で、作品の販売に関してどう思われていますか?

Torazo : いまブロックチェーンゲームでゲームの中のアイテムとかを作っていて、毎月作った分だけ購入してもらっていて、そこで多少はマネタイズできていますが、他に普通の2D作品の仕事もしています。

最近は勉強でBoothとかも見ていますが、そこではアートの他にも箸から建物までいろいろな3Dモデルが売られていて、その販売で生活してるプロがいらっしゃるので、こういう世界もあるんだなって思いますね。
私もどういう人たちがVRアートを必要としてくれるのかとか、そういったマーケティング的な事も考えないといけないなって思い始めています。

■NFTアートについてはどう思われていますか?

Torazo : 実はNFTで食べていこうとか、そこまではまだ思ってはいないんですよ。やっぱりどうしても暗号通貨挟むので難しかったりしますし。
まだ無名なので、まずはより多くの人に自分の作品を見てもらいたいという気持ちの方が強いです。

私にとってはVRヘッドセットやチルトブラシ、Blender、そしてUnityもパレットの上に乗った絵具だったり筆のような、表現手段の一つなんですよね。
それらを勉強して自分の作品をいろんな人に見てもらって、買ってもらえる機会を引き寄せていくのが表現者として生活していく流れとして一番理想的かなとは思います。

■今後はどの様な事に挑戦したいですか?

Torazo : キャンバスの作品もデジタルの作品もそれぞれの良さがあるので、それぞれ作品を作っていきたいですね。リアルな世界でも引き続き個展もしたいです。
VRアートに関しては今はまだどういった形で届けるのがベストかが難しい所ですが、環境が整ってVRアートを楽しむ人が多くなっていけば作品が届く機会ももっと増えてくれると期待しています。
この黎明期の中でどういうふうに自分の表現の可能性を拡張しつつ、生活して行く方法を模索し続けたいと思います。

■今日は色々なお話をありがとうございました!さらなるご活躍を期待しています。

Torazo : ありがとうございました。

Toazoさんの制作ワールド in neos

Torazo Solo Exhibition 2022

Torazo Solo Exsivision 2022

BLUE – relax –

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Maliruv Dum

[MMC22]Maliruv Dum

INFORMATION

Twitter : https://twitter.com/KN28619919
INSTAGRAM : https://www.instagram.com/torazo_k/

     
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